マンションの代表的な工法とその特徴
マンションの構造体は基本的に「コンクリート」と「鉄」でできていますが、そのつくり方と組み合わせ方でいくつかに分類されます。
「RC造」は弱点を補って強度を出す工法
コンクリートと鉄、この2つの材料は、「コンクリートは圧縮に強く引っ張りに弱い、鉄筋はその逆」という特徴をもっています。そこでお互いの性質を補強し合って強固な建物をつくるのが「鉄筋コンクリート(RC)造」。
この構造はさらに,「ラーメン構造」と「壁式構造」に分けられます。7、8階建てまでの中低層マンションに多く用いられるのが「ラーメン構造」。
柱と梁をがっちり接合(剛接合)して建物を支える構造です。このため、壁や開口部の配置は比較的自由で、住戸内の間取りの変更も容易ですが室内に柱や梁が出っ張るのが弱点。
いっぽう、「壁式構造」というのは、あらかじめ壁面と床面をつくっておき、それをつないで建てる方式。低層マンションに多くみられます。
壁と床で強度を保つので、梁·柱の出っ張りがなく室内がすっきりしますが、強度を維持するために界壁(住戸同士の境の壁)だけでなく、住戸内の壁も構造体になっていることがあります。このため,間取りの変更やリフォームが制限されるのが難点です。
より強度を高めた「SRC造」「PC造」
鉄筋コンクリートの梁と柱の中央に鉄骨を入れて、より強度を高めたラーメン構造が「SRC造」です。
高層や超高層のマンションに用いられています。
また、床板にPC鋼線(ピアノ線)を通して、両側を引っぱって固定する「アンボンド工法」などというのもあります。これだとコンクリート内部に緊張が生まれてヒビ割れやタワミを防ぐ効果があり、同時に小梁をなく
すことができるため,室内が使いやすくリフォームの自由度が高まるという利点もあります。
そのほか、室内の出っ張りを解消する工夫としては,柱、梁を室外側に置く「アウトフレーム工法」や「逆梁工法」があります。
ただし、こうした工法は比較的新しいマンションにかぎられ、コストが高くなりがちなため、採用している中古マンションはあまり多くありません。
耐久性のカギは「かぶり厚」
中古マンションでは間取りの変更やリフォームのしやすさが大きなポイントのひとつです。しかし、耐久性はそれよりもっと基本的で大事なチェックポイント。
この優劣を決めるのは 構造というよりもコンクリートの質や厚みです。コンクリート表面から内部の鉄筋までの厚さ(深さ)を「かぶり厚」と呼びますが、これが3cm以上あるかどうかがひとつの目安となります。
なお,構造計算の偽装というとんでもない事態が明るみに出ましたが,こればかりは素人チェックでは手に負えません。
しかし、多くの中古マンションでは、管理組合などがすでに構造の再チェックを行なっているはずなので、その経緯と結果を必ず確認しましょう。