川から遠いのに豪雨で浸水する戸建てのタイプ

令和2年7月豪雨は、熊本県を中心に九州・中部地方に大きな被害をもたらしました。
熊本県では24時間雨量が「多いところで200ミリ」としていたところ(気象庁)、
実際には400ミリを超える雨量となるなど、全国で75名の死者を出しています(消防庁、7月15日午前6時30分時点)。

戸建てを購入する場合浸水リスクゼロのエリアを選ぶのがベストですが、大きな河川が近くを流れる街などでは、リスクゼロの土地を探すのは難しいと思います。

自治体によるハザードマップの確認や、万が一の備えへの重要性が改めて浮き彫りになった形です。

忘れてはいけないのが、浸水のなかったエリアでもこうした豪雨の中では多くの建物が被害を受けていること。これまでの被害事例を、主に一戸建てについてご紹介します。

「基礎の低い家」は床下浸水しやすい

ハザードマップで浸水の可能性が指摘されているエリアでは、都心部・都市部の狭小地に建つ3階建てに多い「基礎の低い家」が、最も水害のリスクが高いようです。

半地下を設けた一戸建てと同様、建物の高さ制限を守ることを目的として、あるいは高齢者に配慮し、バリアフリーの観点から、建物の「基礎」を低くしている一戸建ても多く、水害のリスクが高い構造の典型例です。

地表面からの基礎の高さは、40センチ以上取ることが望ましいとされているが、建築基準法で定める下限の高さは30センチ。

そのため、基礎高が40センチに満たないケースも珍しくない。筆者が創業したさくら事務所が調査した住宅では、後から設置した花壇が原因で、地表面の高さが上がり、基礎高が10センチ程度しかない状態で、ゲリラ豪雨の際に床下浸水の被害を受け多様です。

地下空間に居室を置いている人は注意

地価が高く、狭小敷地の多い都心部・都市部では、居住空間を少しでも広く確保するため、地表面よりも低い空間に、居室を設けるケースがあります。

しかし、ひとたび台風やゲリラ豪雨が襲来すれば、ハザードマップで震災可能性が指摘されていないエリアでも、下水が逆流したり、排出しきれなくなった雨水が流れ込んでくることがあるのです。

排水ポンプを設置していても、排水能力を超える雨が集中的に降れば、一気に水が溜まって窓の高さを超え、室内に浸水する。ある晩、皆が寝静まった深夜に大雨が降り、住人が目覚めたときには、すでに部屋中が浸水。何とかドアを開けて上階に逃げることができたが、もう少し遅れていたら水圧でドアが開かず、閉じ込められていたかもしれなかった。

このケースでは、駐車場にも水が溜まってしまい、車は廃車に。排水ポンプはあったものの、メンテナンスをしないままに10年以上放置され、壊れて作動していなかったことが判明しました。

マンションなら原則として排水ポンプや排水管などの点検・清掃は、管理会社が担います。
しかし、一戸建ての場合は自身で行う必要があり、往々にして忘れられがち。異音などの故障のサインが表れるまで気づかず、この事例のように、いざというとき役に立たないことも多いようです。

腐食したバルコニーを通して雨漏り

バルコニーからの浸水もハザードマップエリアとは関係がないです。
バルコニーには建物と一体化しているものと、後付けされたアルミ製などのものの2タイプがあり、昨今の新築一戸建ては、建物と一体化したバルコニーが大半。

その表面は防水・止水加工が施されるが、時間の経過とともに劣化し、建物内部に浸水することがあります。  特に弱いのがバルコニーと建物やサッシが接続している部分。とある一戸建ての住宅では、豪雨をきっかけにバルコニーを通じて1階の室内に雨漏りが発生していました。

雨が上がった後もバルコニーの表面がなかなか乾きにくかったり、上裏(上階にあるバルコニーの裏側の面)を下から見上げたときにシミができていたりしたら、内部に浸水している可能性が高い。これを放置していたところ、住宅の雨漏りの原因になり、バルコニーはおろか、建物を解体して丸ごと作り直すことになったケースがあるようです。

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